平成18年10月より営業開始しました。食味の向上を追い求めた逸品ができあがりました。

 

農業生産法人株式会社月山じょいふるふぁーむのお米は一般の農家とは栽培方法が違います。それは、収量よりも食味を追求しているから。系統出荷(生産者が農協組織を通じて出荷を行うこと)は行っておりません。だって、こんなにこだわったお米が一般農家のように化学肥料や農薬を使うだけ使ったお米と一緒にされるのは納得できないから!
同じ一等米でも中身が全然違います。一般にお米の収量は10アール当たり5~600kgですが、ウッディファームは食味にこだわりますので400kgを目標に栽培します。お米が必要とするギリギリの有機質肥料を計算して与えることにより、良食味の基準であるタンパク質を減らすことができるんです。

では、お米ができるまでをわかりやすく説明します。

 

土壌分析

農業は土作りから。
月山じょいふるふぁーむでは綿密な土壌分析を行い、この分析結果に基づいて、一枚一枚の水田に米ぬかペレット肥料を入れる肥料設計を行っていきます。美味しさのバロメーターであるお米の中のタンパク質を少なくするため、ギリギリの量を計算します。
田んぼの枚数が多いことと、エリアが離れているので、それぞれの田んぼの特徴を知ることはとても重要なことなのです。一般の農家ではこんな手間暇かかることはやりません。

 

米ぬかペレット肥料作り

 私自身のポリシーとして、農薬と化学肥料を極力抑えた栽培を目指しているので、経費と時間がかかりますが肥料も自分で作ります。 作るのは、精米時に出る栄養満点の「米ぬか」に菜種かすや魚かす、EM菌、糖蜜を加えてペレット状にしたオリジナルスペシャルブレンド肥料。5年後、10年後を考えた化学肥料抜きの土作りを心がけています。

 

 

米ぬかペレット完成

 原材料を混ぜて撹拌し、ペレット形成機でペレット化(原材料の比率は企業秘密)。その後、一晩かけて乾燥機で乾燥させるとこのようなペレット肥料になります。これを20kgづつ袋に入れると完成です。
雪で農作業が出来なくてもこうして米作りの準備を始めます。

 

 

 

播種

 種籾を塩水で選別して温湯で種子消毒します。その後加温して芽を出させると今度は播種。苗箱に床土を入れて品種を間違えないようにして種籾を蒔き、軽く土をかけて、再び加温します。
月山じょいふるふぁーむの規模ではこのような苗箱を2,000枚以上作ることになります。

 

 

 

田んぼの準備

 雪が消えるのを待って、田んぼや用水路の整備を行います。雪で傷んだ用水路はこうして泥を上げ、田んぼに溜まった水を抜くためにスコップで溝を掘っていきます。
用水路もコンクリートの側溝もありますが、まだこのような素堀の水路もたくさんあります。でも、ドジョウや沢ガニ、蛍の幼虫、それの餌となるカワニナなどの生き物にとってはここが生きる場所なんです。

 

 

畦塗り

 一冬の間にモグラやネズミが畦に穴を開けてしまいます。そのままにしておくと水を溜めても抜けてしまい、おいしいお米がとれなくなってしまいます。一般のお百姓さんはビニールを張ったりしますが、月山じょいふるふぁーむでは化学資材を使わないように心がけているので、トラクターに畦塗り機を付けてこうして全ての畦を塗っていきます。田んぼの枚数が多いので相当な距離になるんですよ。

 

 

肥料散布

肥料には基肥と追肥がありますが、植える前にするのが基肥。土壌分析の結果に基づき、お米の品種も考慮に入れて一枚一枚の田んぼに計画どおりの米ぬかペレット肥料などを散布していきます。
肥料も田んぼ全体に均一に散布しないと生育にムラが出てしまいますので、気を使います。
こうして何トンもの米ぬかペレットを散布していきますので、体力勝負の仕事です。

 

耕起

 基肥を散布した田んぼをトラクターを使って耕していきます。基肥を耕すことによって土に混ぜながら田んぼ全体の乾燥を促していきます。
月山じょいふるふぁーむでは5月の連休が終えるころを目処に耕起を完了させますが、この頃はちょうど桜の見頃。山々の桜がとってもきれいです。

 

 

育苗

 耕起している間にも播種した種籾は芽を出してどんどん成長していきます。月山じょいふるふぁーむでは丈夫な苗を育てるため「プール育苗」という方法をとっています。育苗ハウスを平らにしてビニールを敷き、ちょうどプールのように水を溜めて苗を育てます。
この作業も田植えの時期をあらかじめ決めてから逆算して播種しますので、きめ細やかな予定表を作っての作業となります。
緑の絨毯のようでとってもキレイでしょう。

 

代かき

 耕起した田んぼに水を入れて代かきをしていきます。気をつけなければならないのが水の量。水の量が多いと浮き藁で田植えがしづらくなります。少なめの水を入れて有機物の藁も全て田んぼの泥の中に混ぜていきます。田んぼから出た有機物は全て田んぼに還元することが環境に優しい農法だと思います。
基本的に代かきは2回田んぼをまわって仕上げます。この仕事だけは雨が降ってもできる仕事です。

 

 

田植え

 10アール当たり育苗箱17枚の苗を植えていきます。一般的には25枚以上の苗を植えますが、月山じょいふるふぁーむでは粗植田植えを行っており、苗の間隔を大きくとって病気に強い稲作りを目指しています。
品種を間違えるようなことがあってはいけません。真っ直ぐに植えるテクニックが必要とされます。
田植えが終わった田んぼはすぐに水を入れて管理することになります。

 

水管理

 田植え後の田んぼは朝晩の水管理がかかせません。赤ちゃんのようですね。
月山じょいふるふぁーむのように田んぼが百数十枚もあると早朝からこのようにバイクに乗って田んぼをまわってきめ細やかな水管理をします。中には水が抜けてしまう田んぼもあるので、その原因を突き止めるのも一仕事です。
水を入れっぱなしでもダメ。水温を上げて苗の成長を助けてあげます。

 

水管理

 月山の雪解け水は清冽ですがとても冷たいのです。稲の成長を助けるためにこのようなビニールチューブを使い、太陽の熱を利用して水温を上げることも必要になります。隣り合った田んぼは高いところから低いところに順に水を流していく工夫をしながら毎日苗たちと対話していきます。
田んぼではオタマジャクシやタニシ、アカハライモリなども活発に動き出して来るのもこの頃です。

 

 

草刈り

 日に日に大きくなるのは稲ばかりではありません。田んぼの畦では雑草たちもどんどん大きくなっていきます。水管理をしながら並行して畦の草刈りが始まります。背負い式の動力草刈機で汗を流しながらの作業です。特にこの辺は山間部。中山間地と言われる場所なので、平野部と違い傾斜の大きい畦がほとんどのため、草刈りの労力も3倍以上かかってしまいます。 稲刈りまでに4回の草刈りをしますが、これを疎かにすると病害虫の被害を受けることになります。

 

除草

 一般の農家は除草剤をまく時期、月山じょいふるふぁーむでは田んぼに入って機械式の除草機での除草作業に入ります。土を撹拌して雑草を除去し、稲の根に刺激を与えることによって肥料の効きを高めていきます。
県の補助制度を活用したチェーン式除草機も開発して試験しています。
苗達もいつまでも甘やかしてはおけません。こうして丈夫な稲に育てていきます。
暑い中の作業となりますが、流れる汗と田んぼの泥で泥だらけの毎日が続きます。

 

草刈り

 一回目の草刈りが終わったと思ったら、もう次の雑草が大きくなってきました。雑草との戦いが本格的になってきました。
早速2回目の草刈り開始です。畦だけでなく農道も草を刈らなければならないので、相当な面積をかることになります。
水路に刈り取った草を流すと途中で水路が詰まって水が溢れてしまいますので、なるべく流さないように気をつけなければなりません。

 

 

分けつ

 除草機で刺激をあたえられた苗達は気温も暑くなり盛んに分けつを繰り返し本数を増やしていきます。日に日に成長が目に見えるようになるのも楽しみ。
でも、毎日田んぼを見回っていもち病などの病気がついていないかを確認することも怠ってはいけません。水管理も相変わらずやらなければなりません。
田んぼにはオタマジャクシからカエルに変身する子供たちが見られるのもこの頃です。

 

作溝

 夏の暑い時期の重労働「作溝」が始まります。これは田んぼに溝を切って田んぼを乾かし水管理をやりやすくし、稲の分けつを抑えるためにやります。稲刈りの時に田んぼが柔らかいと機械がぬかるんで入れませんので、コンバインが入れるようにするためでもあります。月山じょいふるふぁーむでは溝を切って田んぼから水を抜き、土が白くなってヒビが入るくらいまで稲を苛めます。そうして水を求めて根を張らせることによって倒れない丈夫な稲を育てていきます。

 

生育調査

 月山じょいふるふぁーむでは生育調査もかかせません。SPADという機械を使って葉色を測定したり、稲を抜いて幼穂の状態を見たり、一株あたりの長さや茎数を記録したりすることも大切な仕事です。
県の農業技術普及課やお世話になっている肥料業者さんともこのような生育調査を行い意見交換しながらおいしいお米を作る努力をしています。

 

草刈り

 7月末までに畦の草刈りを終えなければなりません。それは斑点米の原因であるカメムシを駆除するため。カメムシの生息する場所(草むら)を無くして8月上旬に各地区毎で一斉に共同防除を行います。
暑い時期ですが、地区の皆さんが協力して作業を行います。

7月末の草刈りは3回目の草刈りとなりますが、稲刈り前に4回目の草刈りを行います。景観を守るためにも必要な作業です。

 

共同防除

 8月上旬に一週間の間隔をあけて共同防除を行います。共同防除は風の無い早朝に行いますが、基本的にカメムシ防除といもち病等の防除の2回実施します。
自然が豊かということはその中で生活する虫も多いということ。
各地区の農家が一緒になって防除することによって、カメムシを一網打尽にすることができ、斑点米の被害からお米を守ることができます。
でも、他の農家に影響しない田んぼでは全く防除しない栽培方法も行っています。それが無農薬・無化学肥料栽培。管理は大変ですけどね。

 

出穂

 お米の品種にもよりますが8月上旬から中旬にかけて出穂の時期です。今まで葉っぱしか見えなかった田んぼにニョキニョキと稲穂の赤ちゃん達が現れてくるのは圧巻です。
この時期の天候が作柄に影響を及ぼしますので、冷夏の時はとても不安になるんです。

 

 

 

出穂完了

 出穂して受粉します。
これは紫黒米(黒米)の様子ですが、なかなか見ることができないでしょう。白い部分が花です。
とってもきれいです。

 

 

 

 

稲刈り

 品種によって稲刈り時期が違います。月山じょいふるふぁーむで一番早いのは早生品種の「ヒメノモチ」、9月中旬に稲刈りを行います。
月山じょいふるふぁーむの主力品種は10月に入ってから稲刈りとなります。
小学校の学校田も子供たちと一緒に作っていますので、10月上旬にはこうして子供たちと稲刈りを楽しみます。
ここで栽培している品種は「はえぬき」です。

 

稲刈り

 月山じょいふるふぁーむでは「ヒメノモチ」「ササニシキ」「ひとめぼれ」「はえぬき」「つや姫」「コシヒカリ」「紫黒米」と刈っていきます。
月山じょいふるふぁーむではお客様に特に厳選した田んぼで収穫したものだけを販売しています。それ以外の分は契約している米穀業者への販売となりますので、おいしさが違います。
本当の厳選米ですね。

 

乾燥調整

 刈り取った籾は契約しているライスセンターに運んで遠赤外線の乾燥機を使って乾燥調整を行います。
乾燥したら籾から殻を取って玄米に仕上げこのように袋詰め。
これから米の検査を受けて初めて販売することができます。

 

 

蔵へ搬入

 検査を終えた玄米は月山じょいふるふぁーむの倉庫に搬入します。ここは築数百年のお蔵を改造して米蔵にしていますが、床には檜を張って杉のパレットの上にお米を重ねていきます。
当然エアコンで温度管理はバッチリ。
こうして皆さんからの注文を待っています。注文を受けたら、即精米して発送。翌日には皆さんのお宅に届いてしまいます。

 

どうでした?
こんな苦労をしながら栽培しています。
100枚を超える田んぼの中から厳選したお米だけを皆様にお届けしていますので味には絶対の自信があります。